いきもの観察入門~鳥類編~
鳥を観察してみよう
山や川、海、街といった多様な環境がそろう福岡市には、さまざまな野鳥が生息しています。鳥たちの姿や鳴き声、行動を観察することは、身近な自然環境や四季の移ろいを知る良いきっかけになります。双眼鏡を片手に、バードウォッチングに出かけてみましょう!
観察道具を準備しよう
①双眼鏡
鳥の姿をはっきりと見るための必需品です。 手ブレが少なく、視野も確保しやすい8倍〜10倍の倍率が推奨されますが、 スポーツ観戦用や観劇用など、ご自宅にある双眼鏡でも十分に楽しむことができます。
②野鳥図鑑
見かけた鳥の名前や特徴、生息地などを調べるために使います。散策時に持ち運びやすい、ポケットサイズの図鑑が便利です。
③その他(あると便利なもの、上級者向けのもの)
・フィールドノート(メモ帳)・筆記用具
見つけた鳥の種類、場所、日時、行動などを記録しておくと、後で振り返る際の貴重な資料になります。
・フィールドスコープ(望遠鏡)
双眼鏡よりも倍率が高く(20〜60倍程度)、湖沼のカモ類など、遠くにいる鳥を観察する際に適しています。
服装: 野外を歩くため、動きやすい服装や帽子、歩きやすい靴を着用しましょう。派手な色は鳥が警戒する場合があるため、自然に溶け込む色を選びましょう。
観察場所を選ぼう
鳥たちは、それぞれの環境に適応して暮らしています。場所を変えることで、出会える鳥の種類も変わります。
①公園(都市公園や自然公園)
写真提供:福岡市
整備された歩道があり、初心者でも安心して観察できる場所です。四季を通じて様々な鳥が見られます。
【観察できる野鳥の例】
スズメ、シジュウカラ、メジロ、ムクドリ、キジバト など
②河川
写真提供:福岡市
視界が開けているため鳥を見つけやすく、カモ類やサギ類などの水鳥をじっくり観察するのに適しています。
【観察できる野鳥の例】
アオサギ、カワウ、カワセミ、セグロセキレイ、マガモ など
③海辺
写真提供:福岡市
浜辺や干潟は海を渡る鳥たちの休息場所や餌場となります。特に春と秋の渡りの時期には、多くのシギやチドリの仲間が観察できます。港では魚を狙うカモメ類やミサゴなどが見られます。
【観察できる野鳥の例】
ユリカモメ、トビ、ミサゴ、シギ・チドリ類 など
④樹林
写真提供:福岡市
脊振山や油山、立花山には豊かな自然が残っており、街中では見られないような鳥も生息しています。葉が茂っている場所では姿が見えにくいため、鳴き声を頼りに探すのがコツです。
【観察できる野鳥の例】
アオゲラ、ミソサザイ、オオタカ、オオルリ など
ここに注目してみよう
鳥を見つけたら、ただ眺めるだけでなく、以下のポイントに注目してみましょう。種類や生態がより深く理解できるはずです。
①見た目を観察する鳥たちの外見は、単に美しいだけでなく、その生態や生存戦略を知るヒントとなります。オスとメスの違い、季節によって着替える「夏羽」と「冬羽」、幼鳥から成鳥への変化など、その形や模様の一つ一つに注目すると、観察する楽しさがグッと増します。
・雌雄の違い
鳥類では、オスがメスよりも派手なことが多い傾向があります。これは、オスはメスに選ばれるために目立つ必要があり、メスは抱卵や子育て中に外敵に見つからないよう、周囲に溶け込む保護色をしているためです。
・季節での違い(換羽・かんう)
夏羽(繁殖羽): 春から夏にかけて、繁殖のために鮮やかになったり、飾り羽が生えたりします。例えばダイサギでは、レースのような飾り羽が生えます。
冬羽(非繁殖羽): 秋から冬にかけて、地味で目立ちにくい色に変わります。カイツブリなどは全く別の鳥に見えるほど変化します。
・成長段階での違い(幼鳥・若鳥)
幼鳥は成鳥とは全く違う模様をしていることがあります。「大きさは親と同じだけど、色がくすんでいる」「胸にまだら模様がある(ツグミ類などの若鳥の特徴)」といった個体を探してみましょう。
・形と模様の機能美に注目する
例えば、くちばしの形からは、その種が何を食べているかが分かります。また、モズなどで見られる過眼線(かがんせん、くちばしの根元から目を横切って後方に伸びる線上の模様)は、太陽光の眩しさを軽減するサングラスの効果や、獲物に照準を合わせる際の補助、捕食者に対して目の位置を特定されないようにする効果、同種認識などいくつかの役割をもつ可能性が挙げられていますが、その働きは種によって異なるものと考えられます。
細長いくちばしのタマシギ
弁足(各指にひれ状の水かきが
ついた足)をもつオオバン
羽角を立てるコノハズク
赤い虹彩をもつゴイサギ
黒い過眼線があるアカモズ
腹部が鮮やかな黄色のキセキレイ
姿が見えない場所でも、鳴き声は大きな手がかりです。美しい「さえずり」や、仲間同士で合図を送る「地鳴き」など、季節や状況によって異なる声に耳を澄ませてみましょう。
・さえずり
繁殖期に求愛する際や、縄張りを主張する際などに出す、複雑で美しい鳴き声です。ウグイスの「ホーホケキョ」もさえずりの一つです。オスがさえずる種がほとんどですが、イソヒヨドリなど雌雄ともにさえずる種もあります。
・地鳴き
一年を通じて雌雄ともに発する、短く単純な鳴き声です。仲間との合図や、警戒の促し、ヒナへの呼びかけなどの際に発します。
ウグイスのさえずり
ウグイスの地鳴き
③歩き方や飛び方を見る「動き」は鳥の個性が光る瞬間です。地面を軽快に跳ねるのか、あるいは気取って歩くのか。一直線に飛ぶのか、波を描くのか。その独特なリズムやシルエットは、遠くで姿が霞んでいても種類を特定する大きな手がかりになります。静止画ではなく「動画」として鳥を捉える、ダイナミックな観察の扉を開きましょう。
・地上での歩き方
鳥が地上にいる時の足の出し方は、ホッピング(跳行)とウォーキング(歩行)の2つに分けられます。ホッピングは両足を揃えてぴょんぴょんと跳ねる方法で、主に樹上で暮らす小鳥で見られます。ウォーキングは私たち人間と同じように、左右の足を交互に出す方法です。身近な鳥だと、スズメやヒヨドリがホッピング、ハトやセキレイがウォーキングで移動します。カラスやツグミなど、ホッピングとウォーキングの両方を行う鳥もいます。

・空中での飛び方
飛んでいる時の「軌道」や「翼の使い方」にも、種ごとに違いがあります。例えば、ミサゴやカワセミは、ヘリコプターのように空中の同じ場所で静止するホバリング(停空飛行)を行います。ハクセキレイなどセキレイの仲間は、羽ばたいて上昇し、翼を閉じて少し落下するといった動きを繰り返し、波のような形を描く波状飛行を行います。
ミサゴのホバリング
トビの滑翔(グライディング)
ハクセキレイの波状飛行
④エサをとる様子を見る
歩き方や飛び方が観察できたら、次はエサをとる様子を観察してみましょう。木の実をついばむ、空中で虫を捕らえる、水中に潜って魚を捕るなど、鳥によって食事のスタイルは様々です。何を食べているかを見ることで、その鳥のくちばしの形や、生息環境との関わりが見えてきます。
フライングキャッチをする
セグロセキレイ
逆立ち採餌するマガモ
サザンカの蜜を吸うメジロ
⑤渡りを観測する(ステップアップしたい方へ)
鳥の中には、一年を通じて福岡市で見られる「留鳥」のほか、ツバメなど春に南から来る「夏鳥」、カモ類など秋に北から来る「冬鳥」がいます。季節によって見られる鳥の種類が変わるのも楽しみの一つです。飛来場所や飛来時期、群れの大きさなどを記録し、昨年の記録と見比べてみると、新たな発見があるかもしれません。

⑥繁殖・求愛行動を観察する(ステップアップしたい方へ)
春から初夏にかけては、鳥たちが次世代へ命をつなぐ大切な時期です。美しいさえずり、鮮やかな飾り羽のディスプレイ、オスがメスへ獲物を贈る「求愛給餌」など、この時期特有の行動が見られます。
ウグイスのさえずり
カワセミの求愛給餌
キジのほろうち
マナーを守って観察しよう
鳥たちと人が共存し、末永く観察を楽しむために、以下のマナーを守りましょう。





