海藻の不思議
不思議な魅力をもつ「海藻」たち
海をのぞくと、波間にゆらめく海藻の姿が見られます。実は日本沿岸には1500種以上の海藻が生育しており、その多様性は世界有数といわれています。美味しい食材として食卓を彩る彼らですが、近年は地球温暖化を防ぐ救世主としても世界中から注目されています。
知っているようで知らない、海藻の魅力と地球を守る驚きのパワーについて紹介します。

海藻ってどんないきもの?
光合成によって酸素を発生する生物から種子植物、コケ植物、シダ植物を除いた生物を「藻類」と呼び、そのうちの海や汽水域に生育する目に見える大きさのものが「海藻」です。
海藻は陸上の植物と違い、根・茎・葉が分化しておらず、体全体で光合成をし、水中から養分を吸収します。
また、根は栄養を吸収するためではなく、岩に張り付いて流されないようにするための「付着器」としての役割を持っています。
海藻は、生育する場所の水深や光の届き具合によって、大きく3種類に分けられます。
緑藻(りょくそう)
潮の満ち引きによって沈んだり干上がったりを繰り返す「潮間帯」に多い藻類です。鮮やかな緑色が特徴で、「クロロフィルa」という一般的な植物と同じ緑色の色素を持ちます。
例)アオサの仲間
褐藻(かっそう)
緑藻よりも 少し深い場所に生えます。大きく育つものも多く、「海の森」を作ります。名前の通り褐色をしており、これはクロロフィルaに加え「フコキサンチン」という褐色の色素を持つことによります。
例)ワカメ、アカモク
紅藻(こうそう)
褐藻よりもさらに深い場所に生えます。「クロロフィルa」に加え、「フィコエリスリン」という赤色の色素を持ちます。
例)フノリ、エゴノリ、イギス

【一口メモ】ワカメは緑藻じゃないの?
お味噌汁に入っているワカメや、酢の物に入っているワカメなど、皆さんが食卓で目にするワカメは緑色をしています。しかしながら、先ほど紹介したようにワカメは褐藻に分類されます。
ワカメを含む褐藻類は、クロロフィルaと呼ばれる緑色の色素と、フコキサンチンと呼ばれる褐色の色素を持ちます。フコキサンチンは熱に弱いため、湯通しすると分解されます。すると隠れていた緑色が見えるようになり、お馴染みのワカメの色に変化します。
福岡市で獲れる海藻
ナラワスサビノリ
写真提供:福岡市漁業協同組合 姪浜支所
「姪浜のり」の材料となる紅藻です。1960年代に発見されたスサビノリの変種で、その育てやすさから養殖のりの品種として全国に広まりました。博多湾では水温が下がる10月から養殖が始まり、11月末から摘採され、12月ごろから市場に並びます。
ワカメ
写真提供:福岡市
2月から4月にかけて、各漁港で天然ワカメの収穫が行われているほか、箱崎、志賀島、弘では養殖ワカメの生産も行われています。低カロリーですが食物繊維とミネラルが豊富です。しゃぶしゃぶ、サラダ、お味噌汁など、さまざまな料理で楽しむことができます。
エゴノリ・イギス
写真提供:福岡市
福岡名物「おきゅうと」の材料となる紅藻です。「おきゅうと」はこれらの海藻を煮溶かして固めた食べ物で、江戸時代から箱崎一帯で作り始めたとされています。低カロリーで食物繊維が豊富なため、ダイエットフードとしても注目されています。酢醤油、ポン酢、マヨネーズやしょうが醤油など、お好みの調味料で楽しみましょう。
おいしいだけじゃない!海藻の知られざる機能
海藻は「食べる」だけではありません。近年、生物多様性や自然環境を守るための重要な機能が注目されています。
海のゆりかご :
海藻の林は、魚たちの産卵場所になったり、稚魚が隠れて育ったりするための「ゆりかご」になります。
水質浄化:
海中の窒素やリンなどの栄養塩を吸収して育つため、海水をきれいにする役割も果たしています。
ブルーカーボン(海のCO2吸収):
陸上の植物が光合成で二酸化炭素(CO2)を吸収するように、海の中では海藻や海草(アマモなど)がCO2を吸収しています。この、海洋生物によって吸収・固定された炭素のことを「ブルーカーボン」と呼びます。 海藻が茂る「藻場(もば)」は、地球温暖化の一因となるCO2を減らすための、強力な吸収源として期待されています。




