実りを支える花粉媒介者 ニホンミツバチ

春になり暖かくなると、真っ先に飛び始める昆虫のひとつがミツバチです。花から花へと飛び回っては、せっせと花粉や蜜を集める姿が見られます。

日本では、明治時代に外国から持ち込まれたセイヨウミツバチと、在来種のニホンミツバチの2種が見られます。

セイヨウミツバチ。全体的に黄色っぽい。

セイヨウミツバチ。全体的に黄色っぽい。

ニホンミツバチ。全体的に黒っぽく、小さい傾向。

ニホンミツバチ。全体的に黒っぽく、小さい傾向。

ミツバチは、その巣から美味しいハチミツが取れるだけでなく、果物や野菜、ナッツ類の生産にとても大切な役割を果たしています。

花にやってくるミツバチをよく観察してみましょう。体中が黄色い花粉まみれになっていませんか?

通常、植物が実をつけるためには、めしべが花粉を受け取る必要があります。ミツバチなどの生き物が花粉や蜜を求めて花を訪れる際に、花粉がおしべからめしべへと運ばれることがあります。花粉を運ぶこのようないきものは、「花粉媒介者(かふんばいかいしゃ)」と呼ばれます。

花粉まみれのミツバチ花粉まみれのミツバチ

りんごやイチゴ、桃などの農家では、ミツバチに花粉を運んでもらうことで受粉をしています。もしミツバチがいなくなったら、こうした果実を実らせることができなくなってしまいます(人工的に受粉することもできますが大変な労力が必要になります)。

国連環境計画(UNEP)の2010年のレポートでは、「世界の食料の9割をまかなう100種類の作物のうち、70種類以上はミツバチが受粉を媒介している」と報告されています。

ニホンミツバチの必殺技「熱殺蜂球(ねっさつほうきゅう)」

ニホンミツバチは、普段はむやみに人を刺すことのない、おとなしいいきものです。

でも、巣に危険が迫った時には、巣を守るために戦います。

ミツバチの天敵はスズメバチで、オオスズメバチの場合、体重にしてニホンミツバチの30倍もの大きさがあります。この強力な捕食者から巣を守るための必殺技、それが「熱殺蜂球(ねっさつほうきゅう)」です。

スズメバチをみんなで取り囲んで団子のようになり、一斉に筋肉を震わせて体温を上げ、熱でスズメバチを死なせてしまうのです。この時、蜂球内部の温度は46℃以上になります(スズメバチは45℃以上になると死んでしまいます)。

この温度はミツバチにとっても無害ではなく、熱にさらされた個体は寿命が短くなってしまいます。巣への被害を最小限に抑えるための捨て身の戦術といえます。

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