万葉歌碑(筑紫の館)
和歌の中にもいきもの
舞鶴公園内、旧平和台野球場と陸上競技場の間に石碑があるのを知っていますか?
この石碑には、736年、日本から遠く離れた新羅(しらぎ)に派遣された使者たちが、故郷を想って詠んだ歌が刻まれています。

万葉歌碑(写真提供:福岡市)
今よりは 秋づきぬらし あしひきの 山松かげに ひぐらし鳴きぬ
今はもう秋になってしまったらしい。
山の松陰でヒグラシが鳴き始めた。
都を出てからすでに長い時間が経ってしまった。
予定では秋に都へ帰るはずだったのに、まだ筑紫にいる。
いつ故郷に帰れるだろうか。
(鴻臚館のホームページより引用)
ここでは、和歌の中に登場するいきもの「ヒグラシ」について解説します!
ヒグラシはこんないきもの
まず、和歌の中に登場するヒグラシの鳴き声を聞いてみましょう。
歌の作者は、ヒグラシの声を聞いたことで季節の変化に気づき、せつない想いを抱いたようですが、皆さんはどう感じますか?
特徴的な鳴き声から「カナカナゼミ」とも呼ばれるヒグラシは、日本全国に分布し、6月下旬~9月上旬に出現します。平地~山地にかけての薄暗い林の中に生息し、明け方や夕方によく鳴きます。
全長は4~5 cmほどで、体は茶色っぽく、緑色や黒色の模様が入ることが多いです。翅(はね)は透明です。オスはお尻が袋状なのに対し、メスはお尻がとんがっていて、雌雄を簡単に見分けることができます。

ヒグラシ(オス)

ヒグラシ(メス)
歌碑めぐりでいきもの探し!
福岡には、ほかにも沢山の万葉歌碑があり、刻まれている歌の多くに、自然やいきものが登場します。
みゃくみゃくと続く自然の営みに思いをはせながら、万葉歌碑巡りを楽しんでみてはいかがでしょうか?
(参考)- 「荒津の浜」万葉歌碑 (大濠公園)
- 「荒津の崎」万葉歌碑 (西公園)
- 「西公園入口」万葉歌碑(荒戸2丁目)
- 「草香江」万葉歌碑 (六本松1丁目)