博多の固有亜種 ハカタスジシマドジョウ

生息地は福岡市周辺だけ!ハカタスジシマドジョウ

ハカタスジシマドジョウは、ナミスジシマドジョウの亜種の一つで、博多湾に注ぐいくつかの河川でのみ確認されています。

かつては「スジシマドジョウ中型種博多型」と呼ばれていましたが、2012年にナミスジシマドジョウの新亜種として記載されました 。

ハカタスジシマドジョウの特徴

ハカタスジシマドジョウを含むスジシマドジョウのなかまは、3対6本の口ひげ、体に縦すじの模様をもち、成長しても4~10cmほどにしかなりません。

その中でもハカタスジシマドジョウは、体の側面の模様が点状に並んでおり、その色が黒みがかった褐色であるという特徴を持ちます。

川の中流~下流域の流れの緩やかな砂泥底に生息しており、生活史※の詳細はまだわかっていませんが、初夏に河川敷の浅い湿地などで産卵すると考えられています。

※そのいきものがどのようにして生まれ、何を食べて、どのように育ち繁殖し、一生を終えるか

ハカタスジシマドジョウ

写真提供:福岡県保健環境研究所 環境生物課

 

ハカタスジシマドジョウとの共存のために

博多湾に注ぐ河川のうち、那珂川水系では2007年を最後に報告が途絶えており、絶滅した可能性が高いと言われています。

スジシマドジョウのなかまは、浅くて干上がりやすく、水温が高い場所の泥底で産卵すると考えられています。「氾濫原湿地」と呼ばれる湿地は、洪水によって川の水位が上昇した際に一時的に冠水する特徴があり、スジシマドジョウの産卵に適した条件を備えています。

人間にとって安全な川の状態を保つためには、溜まった土砂を取り除くなどの整備が必要です。しかしそれにより、氾濫原を利用するいきものたちにとっては棲みづらい川へと変わってしまうことがあります。

そのため福岡県内では、研究者と協議のもと、ハカタスジシマドジョウをはじめとする多様ないきものたちに配慮した方法で工事が行われています。

残る2つの河川での生育地を守り回復させるためには、行政、研究者、保全団体の連携や、地域住民の理解がとても大切です。

多々良川

ハカタスジシマドジョウが見られる環境

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