福岡市の生物多様性
福岡市の生物多様性(せいぶつたようせい)
生物多様性(せいぶつたようせい)とは、様々な環境に、たくさんの種類の、個性豊かないきもの達がくらしていて、そのいきもの達が相互につながり、支え合っていることです。
このつながりには、私たち人間も含まれます。
福岡市が位置する九州北部は、美味しい海産物がとれる豊かな海に恵まれています。温暖な気候で、豊富な雨が降るこの地域では、山から河川、そして海へとつながる水の循環が、多くのいきものを育む基盤になっています。 多々良川(たたらがわ)、那珂川(なかがわ)、室見川(むろみがわ)などの河川のはたらきで形成された広大な福岡平野では、「博多野菜」の栽培など農業がさかんです。
今の福岡市がある地域には、縄文時代から人々が住んでいて、イノシシやシカを狩り、魚や貝をとり、どんぐりなどの木の実を集めて生活していました。
博多三大祭りの一つである放生会(ほうじょうや)※にも、生物多様性の恵みに感謝しながら暮らしてきたこの地域の歴史が表れています。
このように、自然と人の暮らしや文化が深く結びついているのは、福岡市の大きな特徴です。
※いのちを慈しみ、海の幸・山の幸に感謝するお祭り
立花山上空からのぞむ福岡市(写真提供:福岡市/写真撮影:Fumio Hashimoto)
生物多様性の3つのレベル
生態系の多様性
写真提供:福岡市
写真提供:福岡市
写真提供:福岡市
北の玄界灘(げんかいなだ)から、南の脊振(せふり)山地まで、1000m以上の標高差がある福岡市には、気候や植生の異なる多様な自然環境が存在します。このように、海や川、森林、里地里山など、様々な自然環境があることを、「生態系の多様性」といいます。
種の多様性
異なる自然環境には、それぞれ違ういきものが生息するため、生態系の多様性が豊かな場所には、その分、多くの種類のいきものが見られます。
たくさんの種類のいきものがいることを「種の多様性」といいます。
福岡市で見られるいきもの達については、注目のいきものやいきもの図鑑をチェックしてみましょう!
遺伝子の多様性
アサリの模様がひとつひとつ違うように、同じ種類のいきものでも、色や形などの外見や、病気や環境変化への耐性などが異なります。
こうした違いを、「遺伝子の多様性」といいます。
遺伝子の多様性が失われると、どの個体も似たような弱点をもつことになるため、環境の変化に弱くなり、そのいきものの絶滅の可能性が高まります。
写真提供:福岡市
生物多様性が豊かで健全な状態であるためには、「生態系」・「種」・「遺伝子」3つのレベルの多様性がすべて重要です。
生物多様性に支えられる私たちの暮らし
私たちの暮らしは、衣食住すべてにわたって、生物多様性のめぐみ(生態系サービス)に支えられています。ここにも!生物多様性のめぐみを参考に、身の回りのめぐみを探してみましょう!
供給サービス
水産物、農産物、山菜などの食べ物や、水、木材などは、私たちの生活に欠かせないものです。博多湾や玄界灘でとれる魚介や、博多野菜など、新鮮な食べ物を手ごろな価格で楽しむことができるのは、福岡市の大きな魅力のひとつです。
写真提供:福岡市
文化的サービス
自然は、私たちに多くの楽しみや学びを提供し、心を豊かにしてくれます。福岡市の代表的なレジャースポットである海の中道には、海浜公園や水族館があり、家族で楽しめる施設が集まっています。また、市の南側の山地には「油山市民の森」や登山コース、キャンプ場があり、自然の中で遊ぶことができます。
写真提供:福岡市
調整サービス
森や海があることによって、夏の暑さがやわらいだり、洪水が起きにくくなったりと、自然は私たちの暮らしを守ってくれています。今津干潟や和白干潟などの干潟には水をきれいにし、海の水質を保つ作用があります。これは、泥の中に存在するプランクトンやバクテリアなどの微生物が、汚れを分解してくれるためです。
写真提供:福岡市
基盤サービス
空気中の酸素がつくられること、長い時間をかけて土ができること、水や栄養が循環することなど、人間を含むいきもの達が生きていくための基盤は、生物多様性によって形づくられています。
写真提供:福岡市
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