博多うどん
うどんも、そばも、博多発祥!?
博多駅にほど近い承天寺(じょうてんじ)の境内には、「饂飩 蕎麦 発祥之地(うどん そば はっしょうのち)」という石碑が建っています。
うどんやそばを作るためには、小麦やそばの実を粉に加工する技術が必要です。その技術を日本に持ちこんだのが、承天寺を開いたお坊さん・聖一国師(しょういちこくし)だったと言われています。
博多うどんの「だし」に注目!
博多うどんはふんわりとしたやわらかい麺と、上品な薄口のだしが特徴です。
思わず飲み干したくなってしまう、あっさりとしてまろやかな味わいのだし。これには古くから、イリコ、アゴなど、玄界灘でとれる魚のダシが使われてきました。
「イリコ」とは、魚を釜揚げにしてから乾燥させたもので、一般的にカタクチイワシが使われます(「イリコ」と「煮干し」は同じもので、「イリコ」というのは西日本での呼び方です)。
アゴとは、トビウオの別名で、九州北部から日本海側の地域での呼び方です。
イリコ
焼きアゴ
カタクチイワシはこんないきもの
イリコとして加工されるカタクチイワシは、ニシン目カタクチイワシ科の魚です。サイズは普通10cm程度、最大でも15cmほどです。上あごが下あごより長く、下あごが無いように見えることから「カタクチ(片口)」の名前がつきました。
口を大きく開けながら回遊し、プランクトンを「鰓耙(さいは)」と呼ばれる器官でこしとって食べます。繁殖力が高く大群を作るため、私たち人間だけでなく、他の魚や海鳥など多くのいきものの食糧になり、生態系を支えています。
「アゴ」はこんないきもの
「アゴ」ことトビウオ。水上に飛び出し、海面すれすれを猛スピードで滑空する行動が特徴です。これはマグロなど海中の捕食者から逃れるためだと言われています。
トビウオと一口に言っても、世界にはトビウオ科の仲間が60種程度おり、日本近海でも20~30種が見られます。これらを総称してトビウオという時もあれば、トビウオという一種を指して言うこともあります。
大きさは小型の種で20cm程度、大型の種だと30cmにもなります。日本近海へは産卵のために黒潮や対馬海流に乗ってやってきます。
トビウオの学名は「Cypselurus agoo(キプセルルス アゴ)」。これは、鎖国時代に日本を訪れた博物学者のシーボルトが、長崎からトビウオの標本を持ち帰る際にメモした地方名「アゴ」に由来しています。
なぜ九州で「アゴ」と呼ばれるようになったか、由来ははっきりしませんが、「あごが落ちるほど美味しいから」「かたくて食べる時にあごを使うから」など、様々な説があります。