未来に残したい 油山のアカマツ林

人々の暮らしに役立ってきたアカマツ

現在、福岡市内にある林の多くは、古くから人々が生活のために利用してきた里山です。アカマツは、福岡市の里山を代表する木のひとつで、昔から薪や炭として燃料に利用され、さらに家を建てる木材としても重宝されてきました。 

アカマツは常緑針葉樹で、赤みを帯びた樹皮が特徴です。高さはおよそ20メートルから30メートルに達し、枝が水平に広がるため、遠くからでもその姿を確認することができます。

アカマツ

アカマツ

 

アカマツ林にはしばしばマツタケが生えます。マツタケはアカマツの根に菌糸を伸ばし、アカマツが光合成によって生産した炭水化物を分けてもらう代わりに、土の中の養分や水分をアカマツに渡します。

まつたけ

アカマツ林に生えることのあるマツタケ

 

アカマツ林の危機

かつては普通に見られたアカマツ林ですが、近年、減少の一途をたどっています。

その理由のひとつは、人々が以前のように里山を利用しなくなったことです。アカマツは日当たりの良い環境を好むため、林が放置され遷移が進むと他の木々に日光を奪われ、生育できなくなってしまいます。かつては人々が頻繁に林に足を運び、伐採や枝打ちを行うことでアカマツ林が適切に保たれていましたが、近年ではそのような活動が減少し、アカマツ林が維持されなくなってきました。

もうひとつの理由は、「マツ材線虫病」という伝染病のまん延です。「マツノザイセンチュウ」という、北米原産の線⾍が引き起こすこの病気により、日本のアカマツ林は、特に1970年代後半から壊滅的な被害を受けてきました。 

福岡市南部の油山には、貴重なアカマツの天然林が残されています。

福岡県のレッドデータブックで希少植物群落として指定されているこのアカマツ林を守るため、保全・管理の取り組みが行われています。

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